代替えがきかない仕事をしているか?
「今の仕事は誰も代わりがいないし、倒れたら終いやから、まだまだ頑張って行かんと!」と思わされることが、最近になってよくある。
先日、お客様が転勤することになり異動の話を伺っているときに思ったのが最初。そして、昼ゴハンで入った中華屋で相席になった中堅サラリーマンの昇格ネタを小耳にはさんだときに思ったり。お客様から 『先生、お弟子さんを取ったらいいのに!』と言われたときに思ったり。あとは、某アイドルグループの「世界に1つだけの花」が再販かかっているニュースを聞いたりとか。シチュエーションは様々だが、根っこにあるのは・・・「今、私にしか出来ない仕事をしている実感」であろう。
そうなのだ、私の代わりがいない。人としての人格や存在の話ではない。仕事の話だ。無論、職業に貴賎はない。が、職業との相性や適合性はある。今の仕事は非常に相性が良く、しっくり来ている仕事だと思う。自営業を初めて、はや2年。今年が3年目になる。これまでに様々な仕事や職場を渡り歩きようやくにして落ち着き、一生続けられる仕事に就いた。長く時間がかかったが、達成感と充実感は格別だ。
9月の大異動に組み込まれたお客様が「結局、オレたちは駒のように扱われ、パズルを動かすように全国に配置転換されちゃうんだよね。社員だから仕方ないけど・・・」とおっしゃったときに、「たしかに・・・」と普通に思ったわけ。「アナタ」でなければ出来ない【仕事】では無いようだ。
また、中華屋で隣に座った2人組のサラリーマンが人事昇格の話で「○○課長は優秀だから・・・間違いなく部長に昇格だね。」などと話しているときに、「うーん・・・」と思ったわけ。空席になった課長のイスには、誰が代わりに座っても会社にとっては大差ないしなんなら部長のイスだって同じことだよね。だって替われるんだもん。
お客様から「弟子を取ったらいいのに・・・」と言われて一代で治療が消えるのはもったいない気もするが技術の伝承はめんどくさいし、何よりも積み上げてきた感覚が違う。弟子に同じことを望んで時間と労力を費やすよりも、今、目の前にいるお客様に時間と労力を費やす努力をする方が限られたカタチではあるが意味と価値がある。(技術の伝承をした方が持続的な社会貢献になるのはわかっているがいまさら、そんな馬力もないわけで・・・)
そして最後に、「世界に1つだけの花」という歌。(歌詞抜粋)それなのに僕ら人間はどうしてこうもくらべたがる?一人ひとり違うのにその中で一番になりたがる?そうさ 僕らは世界に1つだけの花一人ひとり違う種を持つその花を咲かせることだけに一生懸命になればいい
強調しておくが、人格や存在として誰かにとってオンリーワンであれば必要十分に良いのであって(「夫にとって唯一無二の妻」や「息子にとって唯一無二の父親」など)仕事の程度は問われるものでもない。あくまで仕事の話であるが私が休めばお店も休みになる。慕って頼ってきてくださるお客様もいる中で簡単には休めない自負もある。一生懸命にやってこそ、花を咲かせ実を結ぶ。
経営者であり、社長であり、院長であるが1日の大半は雑用係として過ごしている私。誰も代わりのいない仕事だからこその孤独。孤独がゆえに喜びも悲しみも独り占めできるがチームや組織としての規模の大きさはない。それでもいい、お客様が「良くなった!」と喜んでくださることが良い仕事をした!という充実感につながり、毎日の達成感に変わるから。治療技術は、職人芸。手順や方法論というより、もはや感覚の問題である。レシピにはない匙加減。それはもう、代替えなどきかない。私の手は、代替えがきかない仕事にどっぷりつかっている。それを実感できてることは光栄であり、幸せなことである。
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